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アドバイザー 齊藤 芙悠子

2024.07.22

木の家を建てる・・・ 木を伐る人は、森を創る

こんにちは。
おかげさまで創業75年。
自然素材の木の家専門店 田中建築株式会社 
アドバイザーの齊藤 芙悠子です。

ここまで3回に亘って、6月に北志賀竜王エリア・山之内町の伐採現場を見学させていただいた体験をお伝えしてきました。

今回はまとめの回として、見学させていただいた伐採が、長野の山と、今後の林業についてどういう意味を持つのか、
ちょっと大きな視点でお伝えしてみたいと思います。

まず、見学した現場ですが、なんと300ヘクタール(東京ディズニーランド6個分くらい!)のエリアを
10年以上掛けて伐採し、新しい苗を植えて森を育てていくエリアになります。
なんと、集落や個人など、たくさんの土地権利者の方たちに対して、おひとりごとの土地がどこなのかを明確にし、伐採の許可を得るという果てしなく思える取り組みをして、伐採ができるようになりました。★

全体を27の区画に分けて、1年目である今年は9区画を伐採し、新しい樹種を植える計画です。
今年は生えている木全部を伐採して苗を植え、5年後に間伐(間引き)、11年後にも間伐をすることで
森として育てていく計画です。

実は長野の山は半世紀以上前に、山の奥の急な斜面までたくさんの植林がされた時期がありました。
当時の持ち主の方たちは、子どもが大きくなるころに、木も伐りごろ(30~40歳の木が建築材料として一番適している)になり
子孫の役に立つだろうという先行投資です。

しかしそのあと、急速な流れで世の中は変わり、植えた木が伐りごろになったころには
日本の山の木は切っても損にしかならないという時代になっていました。
見向きもされなくなってしまった木はそのまま山で成長を続け、建築材料適齢期を過ぎ、
スギは花粉を大量に放つ世代に育っていきました。
いま私たちは改めて、地元の木で家を建てるという価値観を見直したり、SDGsと言われるように
環境負荷が少なく、持続可能な取り組みの必要性というこれまでにない価値観の中で
かつて日本の山で当たり前に成り立っていた、地元の木を活用するという社会経済の循環に、価値を見出し始めたところです。

いま、山の木を伐り、新しい苗を植えることは
これまでの1世紀ほどの、健康な山のサイクルから外れてしまっていた山とひとの関わりを
新しいサイクルで歩み始めることに他なりません。

今度こそ、未来の地域社会が、好ましい山とのサイクルをまわしていけるように。
未来をみた取り組みが求められています。

私たち田中建築も、微力ながら地域の一員として
そんな取り組みのお手伝いができるように、自分たちにできることを考え、実行していく予定です。
そして、同じ、地域に暮らしていくメンバーとして
一緒にお家を作るお客様とも、この取り組みをシェアしていくにはどうやったらいいのだろう??と
考え始めています。ぜひ、ご一緒いただけると嬉しいです。

★山の持ち主を明確にする事業についてはこちらをご参考ください。
 北信州森林組合ウェブサイト 協会明確化事業の概要

私たち田中建築株式会社は、 「家づくり」を「幸せづくり」にするという信念があります。
それを実現するための方法は、生涯に渡るお金の計画を立て実行すること、
自然素材を使ってデザインされた高性能な木の家を建てることだと信じています。
同じ志を持った協力業者と共に お客様の思いに寄り添う、顧客密着の工務店です。

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